はつよさんは昭和5年生まれの86歳。震災翌年の1月から仮設住宅の集会所でおしるこを食べる会「おしるこカフェ」を始めると、帰りに「うちでコーヒーでも飲んでったら」と声をかけてくれるようになり、いつしかそれが恒例になって、復興住宅に移った今も「おしるこカフェ」の後には「はつよカフェ」に通っている。そんな中で生まれたのがこの曲だ。
先日ラップ「俺の人生」をリリースしたTATSUKO★88こと88歳のたつこさんと同様、はつよさんの人生も平坦ではない。6歳で母と死別、女学校時代は学徒動員で毎日たばこ工場で紙たばこを巻いて過ごした。40代で夫に先立たれ、働きに出ることになったものの、それを「社会を見る機会になった」と人生において最も充実した時期を与えてもらったと語る。東日本大震災では住んでいた家が全壊、80代で仮設住宅暮らしを余儀なくされたが、「いろんな人に出会うことができた」ときわめて前向きに受け止め、86歳になった現在もお寺のコーラスや公園清掃のボランティア、寿大学など、カレンダーには毎日ところせましとスケジュールが書き込まれている。
人生の逆境にあがらい、それを乗り越えていこうとするたつこさんに対し、はつよさんはそれらをやさしさで包み込み、幸せにかえていく、まるで「幸せ変換装置」とでも言うような人だ。まったく対照的ではあれ、人生に対する真摯でしなやかな強さを持ったおふたりのあり方、姿勢は、あの震災でも失われなかった大切なもの、我々がこれまら伝えていかなくてはならない財産ではないだろうか。

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